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ひびわれ・あかぎれ
  • ひびわれ・あかぎれの原因

  • ひびわれ・あかぎれの症状

  • ひびわれ・あかぎれの対処・予防法

  • モイストヒーリングによるキズの手当て

ひびわれ・あかぎれの原因は? なぜ冬に起きやすい?

湿度が低下すると、皮膚の水分は次第に蒸発し、カサカサし始めます。乾燥の初期症状として、かゆみを伴う「ひびわれ」が起こり、さらに乾燥が進むと、ひびわれが深くなって角層の下の真皮が破れた状態となり、これが痛みを伴う「あかぎれ」です。

空気の乾燥や、生活の中で水に触れた後のケア方法によって引き起こされる皮膚の水分・油分・栄養不足が大きな原因となります。水仕事のほか、特に冬場は風邪予防のために手洗い・うがいを行う際、洗った手をよく拭かないと、手に残った水分の蒸発とともに、皮膚を保護している油分、さらに皮膚自身が持っている水分までもが一緒に蒸発して乾燥しやすくなります。加えて、手のひらや足の裏は顔の5倍以上の厚さの角層があり、皮脂が出にくいことも、原因の一つと考えられます。 料理をされる方や、美容師の方など、水や洗剤を使う頻度が高い場合は手が乾燥しやすいため、より注意が必要です。

▲あかぎれのキズのイメージ

ひびわれ・あかぎれの症状

ひびわれ・あかぎれの際には、以下のような症状が現れます。

・皮膚表面が荒れ、ぽろぽろとはがれ落ちる
・手や足の皮膚が突っぱるような感じがする
・皮膚上に小さな裂け目ができ、さらにひびわれると赤みや炎症を伴い、痛みを感じる

手に起こるあかぎれ・ひびわれ

繰り返しの手洗いや過酷な化学物質との接触など、さまざまな要因により、指先や関節部分、また指の間の皮膚が乾燥してひびわれ・あかぎれを起こし、痛みを伴うことがあります。

足に起こるあかぎれ・ひびわれ

足には皮脂腺が不足しているため、擦れなどにより、かかとの周りの皮膚が乾燥してしまいます。これにより、皮膚に裂け目ができ、強い痛みを伴うことがあります。

ひびわれ・あかぎれの対処・予防法

秋~冬にかけ、気温・湿度の低下が始まったら、ひびわれ・あかぎれにならないように早めの対策が大切です。

ひびわれ・あかぎれの予防として

水仕事の際はゴム手袋を着用する

皮膚を保護している油分・水分を保ち、潤いを守るバリアを壊さないために、洗剤や水・お湯を使う際にはゴム手袋を着用するようにしましょう。

皮膚を水で濡らしたら、水気をしっかりふき取る

皮膚が濡れたままになっていると、皮膚の水分も一緒に蒸発してしまいます。素手で水に触れた後は、吸水性の良いタオルやペーパーでしっかりと水分をふき取りましょう。ふき取るときは力を入れてゴシゴシせず、やさしく、皮膚を押さえるようにしましょう。

熱いお湯の使用に気を付ける

熱いお湯で手を洗ったり、シャワーを浴びたり、長く湯船に浸かったりすると、皮脂が失われやすくなり、乾燥を招きやすくなります。温度を下げたり、熱いお湯に触れる時間を短くしたりしましょう。

保湿ケアを行う

お風呂に入った後や、水仕事の後など、水・お湯に触れた後は、保湿クリームや軟膏などの保湿剤を塗るようにしましょう。保湿力の高い成分が含まれたクリームを使うと良いでしょう。

部屋の乾燥を防ぐ

冬の季節や、エアコンをつけているときなど、湿度の低いところで過ごしていると、皮膚の乾燥が進みやすく、ひびわれ・あかぎれを起こしやすくなります。加湿器やお湯を焚いて、部屋の湿度が低くならないようにしましょう。

手袋をして外出する

寒い季節は乾燥した冷たい外気に皮膚がさらされ、部屋の中にいるときよりも皮脂や汗の分泌が減り、ひびわれ・あかぎれを起こしやすくなると考えられます。外出時は手袋を活用するようにしましょう。

ひびわれ・あかぎれになってしまったら

ひびわれ・あかぎれの症状が出てしまった場合は、予防としての対策以外に、下記のような対策が有効です。

治癒タイプのばんそうこうを使用する

あかぎれで、皮膚に亀裂が入っている場合には、キズ口を密閉して適切な湿度を保ち、水分が失われるのを防ぐことが大切です。モイストヒーリングができる治癒タイプのばんそうこうを使えば、水や乾燥などの痛みの元からキズ口を守り、痛みをやわらげます。また、モイストヒーリング(湿潤療法)の効果で、あかぎれを早く治します。

市販の医薬品のクリームや軟膏を使用する

痛みやかゆみ、炎症を抑えたり、ひびわれ・あかぎれの修復を早めたりする市販薬(OTC医薬品)を使用し、つらい症状を抑えましょう。 ハンドクリームは、毎日、あるいは一日に数回塗ることをお勧めします。特に、手を洗った後や、乾燥している感じがするときにはこまめに塗りましょう。皮膚の表面に保護膜を残すことで、乾燥を抑え、また皮膚にうるおいを与えます。 また、爪の周りもひび割れを起こすことがあるので、爪やその周りにもハンドクリームを塗ると良いでしょう。

オイルを入れたぬるま湯に浸ける

オイルを数滴垂らしたぬるま湯に、手や足を5~10分浸けることで、乾燥によるひびわれ・あかぎれの緩和が期待できます。ただし、熱いお湯に浸けると、症状を悪化させてしまう恐れがあるので気をつけましょう。

食生活を見直す

皮膚が新しい組織をつくるときに欠かせないのが、ビタミンC、ビタミンE、ミネラルなどの栄養素。これらを多く含む食事やサプリメントを摂取するのも、ひびわれ・あかぎれを含むキズケアをするときのポイントです。

病院に行く

以上のような対策をしても、症状が緩和しないときは、皮膚科での受診をおすすめします。強い痛みを感じたり、ひびわれ・あかぎれの部位が腫れたり、症状が広がっていく場合は、早めに医師に相談してください。

「モイストヒーリング(湿潤療法)」 によるキズの手当て

ひと昔前は、「キズは消毒して、乾かして、かさぶたを作って治す」というドライヒーリングの考え方が主流でした。しかし近年では、ヒトが生来持っている自然治癒力に着目した、「キズをしっかり覆い、潤い(体液)を保ってきれいに治す」、モイストヒーリングというキズケアが一般的になってきています。

キズを負うと、キズ口から体液(滲出液)が浸み出してきます。この中には、キズ口の異物や雑菌、不要となった組織を排除するための因子、またキズをきれいに治すための因子などが含まれています。モイストヒーリングでは、キズを治すための成分が含まれた体液(滲出液)でキズ口が覆われるため、体液を拭き取ったり、ガーゼに吸わせて乾燥させてしまったりするよりも、治癒のスピードは比較的早くなります。

また、キズが早く治る以外にも、乾燥を防ぐことにより痛みを軽減することができたり、かさぶたを作らないことでキズあとが残りにくくなったりすることも、モイストヒーリングのメリットです。

photo pc

監修:市岡 滋(いちおか しげる)先生<現職>
埼玉医科大学形成外科教授<略歴>
1988年 千葉大学医学部卒業、東京大学形成外科入局、
大学および関連病院で臨床を研鑽
1993~1997年 東京大学大学院(博士課程)にて創傷治癒の基礎研究
1998年 埼玉医科大学講師
2000年 埼玉医科大学助教授
2007年 埼玉医科大学教授
2020年 埼玉医科大学病院 副院長

本ページの記事について、ご質問・ご指摘がある方はこちらからお寄せください。

参考文献

正しいキズケア推進委員会 「正しいキズケアBOOK2」

https://www.healthyessentials.com/back-to-health-solutions/how-to-treat-cracked-skin

Johnson & Johnson Consumer Inc. (2019) CRACKED SKIN ON FINGERS, HANDS AND FEET?

https://www.aveeno.com/skin-hair-solutions/cracked-skin

Johnson & Johnson Consumer Inc. (2019) HOW TO RELIEVE CRACKED SKIN

https://www.polysporin.ca/articles/cracked-skin